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 タイトル  その数学が戦略を決める
 説明  2007-11-29
 文藝春秋
 イアン・エアーズ
 カテゴリ  和書
株本カテゴリ
その他(1)
 満足度平均  5.00  レビュー数:[ 1 ]人
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レビュー アマゾンでもネット上でもこの本の詳しいレビューはいろいろあるので、
『まぐれ』との比較を書くことにする。

この本はタレブの『まぐれ』と対になる本である。

『まぐれ』は
データーを集めて計算しても、
稀に大変動が起きることで何もかも変わってしまうような性質の分野を
扱っている(特に金融市場)。
長期の予測不可能性を論じているともいえる。
(この系統の本に『予測ビジネスでもうける人々』
『未来予測の幻想』『複雑性とパラドックス―なぜ世界は予測できないのか?』『歴史の方程式』などがある)

それに対してこの本は
膨大なデーターを集めて計算することで予想もしなかった相関を見つけ、
そこからかなり正確に予想できる分野を扱っている。
たとえば
1 天候や気温からワインの出来がわかる
2 クレジットカードの延滞によって自動車事故の起こしやすさがわかる
3 クレジットカードの使い方で離婚しそうな確率がわかる
というように。
こういう相関は安定している。(定常性があるともいえる)
生命保険会社の保険数理のように、何歳でどれくらい死ぬから保険料はいくらと
計算する世界に近い。そして専門家よりもデータ処理(データマイニング)
のほうが信頼性が高いという議論をしている。

保険数理の例で言えば、
「まぐれ」の世界では女は83歳が平均寿命だから20歳の保険料はいくらと決めて、
ずっと問題なかったのに、ある日突平均寿命が30歳になってしまって、
契約した保険料ではリスクを負担できなくなるようなことが起きる。
「その数学が・・・」では先に説明したように、そんなむちゃくちゃな変動は起きな
い。多少は変化しても急激な変化はない。世界は連続的であり、データーを集めるほど信頼性は高まる。

したがって
『まぐれ』と『その数学』は扱う分野を棲み分けしているので両方とも正しい。
世の中には予測しやすい分野と予測しにくい分野があるのは覚えておけば
自分の考えや、他人の予測が
信頼できる予測なのか、信頼できない予測なのか、を区別できるようになるはずだ。

というわけで『まぐれ』と『その数学は戦略を決める』は一緒に読んだほうが理解が深まる。
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2008-11-13-18:32 のびー。 Amazonで見る  他のレビューを見る
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